朝、ぼーっとしながらだらだらと作業をこなして、やっと活動モードに入ったかと思うと、もう夜。夜は夜で、活動モードや日中の忙しさを引きずって、身体がお休みモードに入ってくれず、なかなか眠れない。。。「早くモードを切り替えられれば、もっと効率よく1日を過ごせるのになぁ〜」なんて思ったことが、しばしばありませんか。
そんな時は、パブロフの犬の様に、香りの条件付けで自分を騙し、モードの切り替えを促してみてください。
パブロフの犬とは、ロシアの生理学者イワン・パブロフが行った実験で、特定の刺激(例:メトロノームの音)と反応(例:ご飯)を繰り返し組み合わせることで、刺激だけで反応が生じる現象を指します。犬が音だけで唾液を分泌するようになった例が代表的で、無意識の条件反射を説明する概念として広く知られています。
具体的には、
まず、活動モードとお休みモードの香りをそれぞれ一つずつ選んで、両方とも枕元に置きます。
次に、寝転がったままで構いませんので、なりたいモードの香りを目を瞑りながら聞く(嗅ぐ)。目を瞑ると、より香りに集中しやすくなります。
そして、充分に香りを楽しんだら、なりたいモードの行動をします。
例えば、活動モードの時は、目を開ける・起き上がる・コーヒーを淹れる。
お休みモードの時は、目を閉じる・深呼吸する・脱力する。など、少しの行動から始めて構いません。慣れてくると徐々に切り替えが早くなり、なりたいモードに自分を促しやすくなります。
わたしが実際につかっているおすすめの香りはこちらです。
活動モード:ローズマリー、ハッカ、お線香、コーヒー
お休みモード:ラベンダー、畳(い草)、ジャスミン
次項では、モードごとの香りの選び方と具体的な香りの聞き方について、詳しくご紹介させていただきます。
香道では、香りを嗅ぐことを、「香りを聞く」と表現します。字の並びが美しいこともあり、本ブログでは嗅ぐことを「聞く」と表現させていただきます。
香道で香りを「聞く」と表現するのは、
中国語の「聞香(もんこう)」という語彙が起源で、漢字の「聞」に「匂いをかぐ」という意味が含まれていたことに由来します。
江戸時代以降、日本では香道の文脈で「聞く」が定着し、単なる嗅覚的な反応ではなく、心で深く味わう精神的な行為を強調する表現として定着しました。
この表現は、香木の香りを単なる五感の反応ではなく、個人の価値観や精神性を交えた「鑑賞」として捉える点を反映しています。
香りの選び方

活動モードとお休みモードのそれぞれの香りは、生理的な効果である交感神経・副交感神経を刺激する香りや、精神的連想で自分の思い出や感受性を刺激する香りで構成してます。
具体的な理由と選び方を、神経を刺激する香りと感受性を刺激する香りに分けて説明します。
交感神経・副交感神経を刺激する香り

交感神経を優位にする香り(集中力UP・リフレッシュ)〜活動モード〜
⚫︎ローズマリーやペパーミントなどスッキリした香りが、脳の覚醒度を高めて作業効率を向上させます。
⚫︎シトラス系(レモン・オレンジ)は明るい印象を与え、前向きな感情を刺激します。
副交感神経を優位にする香り(リラックス・鎮静)〜お休みモード〜
⚫︎ラベンダーやベルガモットはストレスホルモンを低下させ、深い呼吸を促進します。
⚫︎フローラル系(ジャスミン・ローズ)は優雅な印象を与え、心の安定を助けます。
自分の思い出や感受性を刺激する香り

情景や記憶を連想させる香り〜活動モード・お休みモードは、ご自身の連想次第〜
⚫︎柚子・緑茶・生姜など和素材の香りは、自然や伝統的な情景を想起し「清々しさ」を感じさせます。
⚫︎森の風や水面の香りは、心の奥深くに残る「心的旅行」を可能にし、時間や場所の連想を促します。
これらの選び方は、生理的効果(神経系の活性化)と精神的連想(情景の再現)を組み合わせることで、香りの持つ多面的な作用を最大限活用できる点が特徴です
活動モードにおすすめの香り 4種

朝や活動モードに入りたい時は、交感神経を刺激する香りか、緊張した思い出のある香りを選びます。
- ローズマリー
集中したい時はこれ!と、セラピスト学校でまず最初に習いました。成分の一つである、1,8-シネオールが頭をすっきりさせ、集中力を高めて覚醒効果をもたらします。 - ハッカ
和製ミントです。スッキリ感の元である成分のメントールが、脳を刺激し、血行促進と冷感作用で覚醒効果をもたらします。西洋ミント(スペアミントなど)も爽快感がありますが、日本人には和の香りの方が身体に馴染む気がします(個人の見解です。) - お線香
お布団から起き上がる必要がありますが、火を使うという安全に気を使う行為で必然的に覚醒しますし、香りの清涼感で目が覚めます。
また、1世紀の中国の詩人黄庭堅によって記された『香十徳』という、香の効能を端的に表現した漢詩でも、「能覺睡眠:眠気を覚ます。」と示されています。

わたしは、仏壇に手を合わせる時の背筋が伸びる感覚や、法事の厳かな雰囲気を思い出すので、動きたい時の香りにしてます。
ですが、お線香の香りで安らぐ方は、次項(お休みモード)でご使用ください。
- コーヒー
こちらもお布団から起き上がる必要がありますが、コーヒーを淹れる時にふわっと広がる香りは覚醒をもたらしてくれる気がします。豆から挽いたコーヒーはもちろんのこと、インスタントでもお湯を注いだ時にじんわりと香るものです。そして、一口飲めば、もうこちらのもの。カフェインによって交感神経が刺激されます。

22時に寝る場合、カフェインは14時まで飲んでOK!
カフェインを含むコーヒーやお茶は、飲んでから5〜7時間ほど覚醒効果が持続するためです。ですので、14時以降は、ノンカフェインに切り替えるのがおすすめです。
寝る時間の前にはカフェインの効果が切れて、すんなりとお休みモードに入りやすくなるように、飲み物をコントロールしてみましょう!
お休みモードにおすすめの香り 3種

夜やリラックスしたい時は、副交感神経を刺激してくれる香りか、リラックスした思い出の香りを聞けば、香りで自分を操りやすくなります。
- ラベンダー
リラックスと言えばラベンダー!というほど有名ですよね。セラピストの学校では、ローズマリーと一緒に最初に習いました。成分に配合されている、酢酸リナリルとリナロールによって、ストレスを緩和し神経を鎮めてくれます。 - い草(畳)
日本独自の心象風景かと思いきや、香り成分的にもリラックス効果があります。フィトンチッドやバニリン、ジヒドロアクチニジオリドなどで、ストレスを軽減し心を落ち着けます。
法事の合間に寝転んでリラックスした思い出もあり、わたしにとってとてもリラックスする香りです。 - ジャスミン
ジャスミンは、リナロールとベンゼルアセテートによって鎮静作用や抗不安効果をもたらすだけでなく、さらに、酢酸ベンジルや安息香酸ベンジルなどの女性ホルモンのバランスを整える成分も配合されています。

ただし、ジャスミンには、催淫効果があります。家族やパートナーと寝室が同じ場合は、部屋に香りを充満させず、ご自分にだけ香るように楽しみましょう。(もちろん、ご一緒に楽しむのもOKです!!)
催淫効果は、性欲を高め、性的興奮を促進する作用を指します。
これは、ホルモンバランスの変化や特定の成分の摂取によって引き起こされることがあります。
しかし、多くの場合、期待されるような強力な効果は科学的に証明されておらず、心理的な要因や個人差が大きく影響します。
催淫効果のある香り:
イランイラン、ジャスミン、ローズ、クラリセージ、サンダルウッド、ジュニパーベリー、パチュリ、ベチバーなど
香りの聞き方 〜寝転んだままがいい〜

具体的な香りの聞き方は、
まず、活動モードとお休みモードの香りをそれぞれ一つずつ選んで、両方とも枕元に置きます。(できれば、寝たままでも手が届くところに。)精油瓶かスプレー式がよろしいかと思います。
そして、寝転がったままで構いませんので、なりたいモードの香りを聞く。
精油瓶の時は、瓶をキュッと開けて、目を瞑り、鼻先の前で瓶を持った手で円を描くようにくるくると回しながら、ゆーっくりとした深呼吸で香りを聞きます。

寝ぼけていると、鼻先についてしまうことがあります笑 そのままつけて、いい香りを続かせたいところですが、成分によってはお肌にシミができる可能性があるので、早めに洗い流すようにしましょう。
スプレーの時は、目を瞑って、お腹の上の空間に向かってプシュッとひと吹き。(こちらの方が時短ですね。)
香りが鼻から脳へと広がると、だんだん、なりたいモードに切り替わってきます。

スプレーは目に振りかけないようにお気をつけください。
目に染みて、ある意味、一瞬で目覚めますが、心地よくないので。
どうしてもお顔にかかってしまう場合は、良い香りの化粧水をスプレーするのも良いかもしれません。
充分に香りを楽しんだら、
お休みモードになりたい時は、香りを聞いたまま目を閉じて、深呼吸を続けます。
活動モードになりたい時は、目を瞑ったまま、心の中で「1、2、3」と数え、「3」の時に目をカッと見開くのと同時に、起き上がります。
これで、それぞれのモードに入りやすくなります。
※体調などにより、どうしてもモード切り替えができない時もありますので、そういう場合は無理をなさらず、体調を優先してください。
香りでモード切り替えが早まると、時間を有効活用できる。
今回は、香りで自分を騙して、なりたいモードに切り替えやすくする方法をご紹介しました。
具体的手順は、
- 活動モードとお休みモードの香りを1つずつ選ぶ。(精油瓶、香水、化粧水など)
- それぞれの香りを枕元に置く。(寝たまま手が届くところがおすすめ)
- 寝転がったまま、精油瓶やスプレーをとり、目を瞑って香りを聞く
- 充分聞いたら、なりたいモードに向かって行動する。
活動モード時:「1、2、3」で目をカッと開き、起き上がる。
お休みモード時:目を瞑って香りを聞きながら、深呼吸を続ける。
モード切り替えが早まれば、ぐだぐだしてしまう無駄な時間が減り、時間を使いたいことに有効活用できます。
どんどん効率的に過ごす策の一案として、お試ししてみてください!!!!!
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